年末年始にいかがですか?笹乃葉鮓承ります
なんだかあっという間に11月ですね。
年末年始のお節と一緒に、帰省の際の手土産に笹の葉鮓はいかかでしょうか?
6寸の木箱に入った笹の葉にくるまれた5種類の鮓(真鯛×4貫、小鰭×4貫、煮穴子×4貫、海老×4貫、〆鯖×4貫)全20貫に太巻き鮓1本(鮪、真鯛、海老、玉子、煮穴子、胡瓜、干瓢、桜でんぶ)です。
税込¥8,000です。ご予約時に店頭にて現金か、銀行振込にてお支払いください。
ご予約受付 12/26(火)まで。
お受渡しは12/31(日)の10:00~14:00梅軒店頭にてのお渡しを予定しています。
上記以外のお受渡しのお時間や日にちをご希望の方はご相談ください。
またお嫌いな食材の変更等もご相談ください。
数に限りがありますので、定数になり次第締切らせていただきます。
海の状況で魚が変更になる場合がございます。
ご予約お待ちしております。
酒と鮓 梅軒
針魚(サヨリ)
サヨリです。漢字で書くと細魚とか針魚とか鱵とか書きます。ま、ほぼ見た目から付いてる当て字ですね。
春頃に産卵期をむかえるので秋~冬が旬だといわれます。海面スレスレを群れをなして泳いでいます。冬場の釣りの対象魚でもありますね。
身質はしっかりとしていて透き通った白身で、上品な味わいです。刺身や酢〆も美味しいですが、丸干しや塩焼などもなかなか味わい深く酒のアテには最高です。天ぷらもいいですね。
サヨリの大型のものはカンヌキ(閂)と呼ばれ、かなりの高値で取引されています。カンヌキともなると肉厚で脂ものりメチャクチャ旨いです。
見た目の綺麗な感じと違って、↑ごらんのとおり腹を割ると真っ黒です。「サヨリみたいに腹黒い」などと揶揄して使われたりするそうですが、実際はあまり聞いたことはないですね(笑)
酒と鮓 梅軒
筋子(すじこ)
筋子の握りです。昨日もニュースでやっていましたが、今年は鮭が不漁で筋子(イクラも含め)べらぼうに高値です(泣)このままいけば年末あたりにはスゴイ値段になることでしょう。
軍艦巻にもしますが、今回は筋子を広げて皮付きのまま醤油漬けにして握りに。海苔がない分、筋子本来の香りが立って美味しいです。
筋子とイクラの違いですが、元々は筋子=未成熟卵とイクラ=成熟卵の違いでした。ようは筋子は鮭のおなかの中で卵になってすぐの状態、それから成長してもう産まれるよ~くらいになったものがイクラでした(鮭のおなかを押したらプルプルッと卵が出てくる状態)。
ですが、あまり成熟したイクラは薄皮がかたくなってしまうので、今ではほとんどがちょっと育った筋子をほぐしたものをイクラと呼んでいます。あまりにも未熟な筋子は薄皮が柔らかすぎてほぐす時に潰れてしますのでイクラにはできません。そういう筋子はそのまま醤油漬けや塩漬けにされます。
鮭以外でも鱒の卵も筋子と呼ばれますが、だいたいは区別するために鱒子と呼ばれることのが多いですね。
ちなみ雑学ですが、有名なお話ですがイクラの語源はロシア語です。ロシア語の魚の卵=イクラと呼ぶそうで、そこからこの名がついたそうです。
酒と鮓 梅軒
「日本全国食べ歩かない」第四歩 「和歌山県 紀土」 その弐
前回の続きからです。
割鮮 太刀魚(有田市) 茗荷 梅酢醤油
前回も書きましたが、有田市は太刀魚の漁獲量日本一。焼物などで食べるのが一般的ですが、良質な太刀魚は刺身も美味しいです。和歌山は真鯛や烏賊、白鱚、鮃なども揚がり、釣りのポイントとしても有名な所が多い県です。
皮はサッと炙って。醤油の代わりに梅干を漬けたときに出る梅酢を出汁と醤油などで味付けしたもので。和歌山といえば梅ですからね~。サッパリとした酸味のきいた味に梅の風味も混ざって、白身の太刀魚にはバッチリです。
煮物 穴子の煮合い(加太地区)
玉葱 若布 春菊 高野豆腐 みかん 玉子
漁師町の加太地区では煮合いという料理があります。じっくりと時間をかけて魚を煮付けるのではなく、濃い目の出汁でサッと炊いてすき焼き風に食べる料理です。元々は時間のない漁師さんたちの食事だったそうです。
いろんな魚を煮合いにするそうですが、今回は穴子で。味がしみるようにかるく骨切した穴子を濃い目のすき焼き風の出汁で炊いて玉子をたっぷりとつけて。みかんは僕が勝手に入れました。和歌山的かな~と思って(笑)
みかんが入ることで、柑橘の酸味と甘み、そして香りが出汁に移るので濃い味付けでも飽きがこないで食べられます。
そして一緒に入っているのが高野豆腐です。その名の通り高野豆腐は和歌山県の高野山から名前がついたものだそうで、高野山で作っていた凍み豆腐が全国的に広まったとも言われています(諸説あり)
高野山は空海(弘法大師)さんが真言宗の修行場として開いたものだそうです。それに付随して周囲には100以上のお寺があるそうです。2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録されています。海南市にある紀土の蔵から少し山の方に行った所にあるそうです。
珍味 うつぼ小明石煮(紀南・串本)
和歌山県の南、串本ではうつぼはお祝い事や正月などに欠かせない料理です。
この海のギャングとも呼ばれているうつぼを、開きにして寒風で干し、揚げて甘辛く炊いたのがこのおつまみです。素朴なパッケージがまたいい感じですね。
ポリポリとした食感と甘辛い味がおやつでも、酒のアテでもどちらでもいける紀南の代表的な珍味です。
御飯物 さえらの鉄砲(紀南) 茗荷 生姜
さえら=秋刀魚です。サンマの棒寿司ですね。シュッとした姿が鉄砲のようだからついた名だそうです。本来、皮付きで出される所が多いのですが、口当たりの邪魔なので皮は取ってます。
サンマは夏あたりに北海道から太平洋側を徐々に南下し、三陸から銚子を抜け、秋~冬に紀州あたりに着きます。その頃にはたっぷりと身体に蓄えた脂も落ち、かなりさっぱりとした味になっています。本来はこの脂の落ちたさっぱりサンマを使うのですが、時期的にまだ入荷できなかったので、今回はちょっと脂のある北海道産のサンマを使いました。
この脂の抜けた紀州のサンマですが、単純に塩焼などにするには脂がなくパサついて微妙なんですが、これはこれで干物や煮干しなどに使われます。脂がありすぎると酸化してしまい美味しい干物や煮干しになりにくいからです。和歌山ではこのさっぱりサンマの灰干しや丸干しの干物も有名です。
御飯物 めはり鮓(熊野地方) カリカリ梅 胡麻
和歌山県の有名な郷土料理といえばこの「めはり鮓」じゃないでしょうか。
元々は山仕事や農作業で食べる弁当として、麦飯で握りこぶし大に握ったおにぎりを塩漬けの高菜で包みこんで作ったものが最初だそうです。「目を見張るほどの大きさ」だったとか「目を見張るほどおいしい」とかが名前の由来だそうです。
今では、中の米は白米だったり酢飯だったり、混ぜ込む具もその家庭やお店によってまちまちですが、今回ウチでは和歌山にちなんで酢飯に刻んだカリカリ梅を入れ、食べやすいようにお稲荷さんサイズにしました。ちょっと小腹がすいたときにもいいですね。夏場のお弁当なんかにもいいですね。梅が入っているので日持ちがいいからお母さん安心ですよ。
留椀 しらすと梅の味噌汁(湯浅地区) 浅葱
これは郷土料理というよりは、僕が和歌山県の特産物で作ったお味噌汁です。
和歌山県湯浅地区は味噌・醤油が有名です。醤油は元々味噌から派生してできたもので、味噌を造る際に出てきた上澄み液がことのほか美味しかったことから、専門的にこれだけを造ることを始めたのが醤油になりました。鎌倉時代のことだそうです。そしてこの醤油発祥の地がこの湯浅なんです。日本人の味覚のルーツとも呼べる聖地ですな。
そして湯浅はしらす漁も盛んで、冬場には美味しいしらすがあがります。
今回はこのしらすと梅干を入れた味噌汁で〆に。しらすの風味と梅干から出る香り、そしてサッパリ感をくれる酸味が相性抜群です。味噌汁に梅干って~?と思う方もいるかもですが、なかなか美味しいですよ。いつもと一味違う味噌汁が簡単にできるのでお試しあれ。梅干はちぎって味噌汁に入れるだけです。あまり多く入れると梅干から塩分が大量に出てしょっぱくなるので、1~2個くらいがいいですよ。
ちなみ雑学ですが、和歌山には白浜や勝浦といった地名がありますが、同じように千葉にもありますね。これは紀州の人たちが房州に移り住んだからだと言われています。なので千葉県野田で醤油業が盛んなのも紀州の人達が移り住んで伝えたからだそうです。この他にも小さな地名がかなりかぶっているものがあります。紀州から移り住んだ人たちは漁師だったり醤油業の人たちだったり、熊野神社の関係だったりと言われていますが、いずれにしても歴史を感じますね。
和歌山県産の紀の川大根を減塩で漬けた伝統的なみずみずしい沢庵です。
パリパリとしたフレッシュな大根の食感と減塩なので大根の甘みのよくでた漬物です。お茶請けなんかにもいいですね。
今回、和歌山県を取り上げてみて思ったことが、「和歌山って聞くとなんかあったっけ?」的なイメージがありましたが、改めて料理を作ると日本料理に欠かせない醤油や味噌、日本一を誇る太刀魚、梅干、みかんなど。さらには紀州備長炭や高野山。いろんな物のルーツがあるところで驚きました。ちょっと和歌山をナメすぎてました(反省)
酒の会自体も、わざわざ蔵から社長の山本くんに杜氏の柴田くんと2人が一緒にたった7人の酒の会に出てくれるなんて、まずあり得ないこと&ありがたいことです。
紀土も今回は6種類用意していただきました。皆さんいろいろ好みが分かれて、それぞれのタイプの紀土を楽しんでいただけました。特に人気だったのは、甘すぎないスパークリング紀土。このあたりだと西小山の「かがた屋」さんにも売ってますので是非。
紀土の平和酒造さんでは日本酒の他にも、「平和クラフトビール」という地ビールや、「鶴梅」シリーズの果実酒なんかも造っています。今回は登場しませんでしたが、これはこれでまた企画ができたらと思っています。
そして社長の山本くんは僕が主催の年一の沖縄の酒の会にも第1回目からずっと参加してくれてます。本当にお世話になっています。山本くん、柴田くんお疲れ様でした。
そして参加してくださった皆様ありがとうございました。
次回の「日本全国食べ歩かない」第五歩は11/18(土)「栃木県 開華」です。こちらもおかげ様で満席となりました。
第六歩の開催は年明けを予定しています。決まり次第詳細は店頭告知いたします。
酒と鮓 梅軒
「食べ歩かない」第四歩 「和歌山県 紀土」 その壱
酒の会の準備等でバタバタしてて更新が遅れておりました。
昨日、第四歩目の「日本全国食べ歩かない」、「和歌山県 紀土」の酒の会がありました。
今回も和歌山県のパンフレットを用意しました。紀土のある海南市のものを中心に。
今回は特別に社長の山本くん(右)と杜氏の柴田くん(左)の2名で来てくれました。こんな小さな会なのに蔵元から2名も来てくれるなんてスーパーVIP待遇ですな。わざわざありがとうございます。
出品酒、紀土スパークリング・純米大吟醸・大吟醸・純吟ひやおろし・純米カラクチキッド・純米の6種類。さらには仕込み水まで用意してくださいました。
仕込み水は貴志川の伏流水で口当たりのまろやかなやや軟水。
杜氏の柴田くん(真ん中)の乾杯の挨拶からはじまりはじまり~
ちなみに僕(左)がつけている前掛けは真っ赤な紀土の前掛け。
先付 うずみ(平井地区)
真鯛 車海老 豆腐 椎茸 三つ葉 金山寺味噌
その昔、質素倹約・贅沢禁止のお上から隠れて食べるためにご飯の下に鯛や海老などの贅沢品を「うずめて」お茶漬け風にして食べていたことからこの名がついたとか。見回りにきたお上に見られてもパッと見、質素にしてますよ~というアピールからできたそうな。
和歌山の他に、広島や大分などでも同じような料理はあるそうです。
出汁の味は付けずに、上に金山寺味噌をのせて。甘辛に炊いた椎茸と、鰹と椎茸出汁のブレンド、そして甘い金山寺味噌。素朴な味わいです。当時の庶民の隠れた贅沢を味わった感じです。
これがその金山寺味噌。和歌山は金山寺味噌の発祥地でもあるんです。金山寺味噌とは麦味噌をベースに刻み野菜などが入った甘いなめ味噌です。和歌山の他にも千葉や静岡などでも造られています。
前菜 炙りほねく(有田市) 生姜醤油
和歌山県有田市は「有田みかん」も有名ですが、太刀魚の漁獲高も日本一なのです。
その有田市のご当地グルメにあるのがこの「ほねく」。正式には「骨くり天ぷら」。地元の方からは「ほね天」とも呼ばれているこれは、太刀魚の内臓を取り出したあと骨ごと叩いてさつま揚げにしたものです。太刀魚のしっかりとした野太い味わいと、ところどころで食感として残る骨のコリッとした感じが特徴。サッと炙ってシンプルに生姜醤油が酒のアテに最高でした。
これには社長の山本くんの提案で「カラクチキッド」のお燗を合わせました。焼けた香ばしいほねくの香りと燗酒の奥行のある味わいがベストマッチでした。
吸物 鯨はりはり汁(太地町)
赤身 本皮 尾羽毛 水菜
和歌山県太地町は鯨やイルカの伝統的な追い込み漁を行っている数少ない漁師町です。
はりはり汁には鯨の本皮から出た脂がいい香りを出して食欲をそそります。一緒に味わい深い赤身の肉とサッパリとした尾羽毛(さらしくじら)を入れて。
鯨肉については世界中からいろんな意見があるのは知っています。ま、この話には後日触れたいと思います。
ちなみ雑学ですが鯨とイルカの違いは大きさの違いだけです。成体で4mを超えるものが鯨、4m以下がイルカです。
・・・後半に続く
酒と鮓 梅軒