酒と鮓 梅軒(バイケン)

武蔵小山の鮓(すし)割烹と日本酒の店です【住所】目黒区目黒本町5-16-3☎03-5708-5542 水曜定休

「日本全国食べ歩かない」第八歩目 「群馬県 浅間山」其の壱

f:id:sushibaiken:20180311172909j:image

定期イベント「日本全国食べ歩かない」第八歩目の「群馬県 浅間山の会を先日行いました。群馬県長野原町にある浅間酒造さんは、草津温泉にほど近いところにあります。草津温泉といえば映画テルマエ・ロマエなどでも出てきた湯畑が有名ですね。

 

 

f:id:sushibaiken:20180311172920j:image 

さて、今回の浅間山のラインナップ。浅間山大吟醸斗瓶囲いにごり(非売品)・純吟改良信交・純吟純米うららか・純米大辛口です。

酒の味は、キリリとしたキレのあるすっきりタイプの酒です。食中酒として飽きのこない味わいです。今回は非売品の大吟にごりも持ってきていただき、お客様も大喜びでした。

 

 

f:id:sushibaiken:20180312195631j:image

お越しいただいたのは浅間酒造の櫻井武社長(写真右)。地元、草津ではホテルや観光センターなども経営されているやり手社長さんです。ちなみにホテルは草津温泉の「ホテル櫻井」さんです。僕も泊まらせてもらったことありますが、きれいな居心地のいいホテルです。料理も美味しいですよ。草津の湯畑から徒歩10分ほどのところにあります。

 

 

f:id:sushibaiken:20180311172934j:image

先付 焼まんじゅう 浅間山サイダー

どこにもっていくか悩んだ焼まんじゅうですが、最初にしてみました。群馬といえば焼まんじゅうというくらい、お祭りなどでもよく見かける郷土料理です。

肉まんの皮の部分だけのような生地に、味噌と醤油、砂糖を混ぜて甘じょっぱいタレを塗って香ばしく焼いたものです。素朴なほっこりと懐かしい感じのするおやつって感じですね。最近では中身にあんこが入ったものもあるそうです。

 

 

f:id:sushibaiken:20180311172943j:image

おやつ的な焼まんじゅうに合わせて、浅間山の仕込み水で造った浅間山サイダーを合わせてみました。昔のラムネとサイダーの中間のような味わいで、こちらも懐かしさを感じます。

 

 

f:id:sushibaiken:20180311172954j:image

前菜 刺身こんにゃく 酢味噌

群馬はこんにゃくの生産量日本一です。そして刺身こんにゃくの発祥もやはり群馬だそうです。通常のこんにゃくよりも柔らかめに、シコシコした歯ごたえの刺身こんにゃくには青海苔を入れています。刺身こんにゃくは、その食感から「山ふぐ」なんても呼ばれます。

 

 

f:id:sushibaiken:20180311173017j:image

吸物 とんとん汁 上州麦豚 豚摘入 大根 人参 蒟蒻 牛蒡 じゃが芋 里芋           椎茸 占地 榎茸 玉葱 下仁田葱 絹鞘 浅葱

前橋の料理人さんたちが前橋の名物料理にと考えて作ったのがこの「前橋とんとん汁」。簡単に言えば豚汁なんですが、きのこ類はバターでソテーしてから入れたり、赤みそと白みそをブレンドしたりとちょっと洋風のテイストのある超具沢山な豚汁です。ほぼおかずのようなこの豚汁はお客さんにも好評でした。

また群馬は畜産が多く、鶏・豚・牛と色々なブランドがあります。今回は上州麦豚を使用。甘みのある脂としっかりした味の豚肉です。

 

其の弐へ続く…

 

   酒と鮓 梅軒

 

 

 

 

参加者募集!第九歩目「日本全国食べ歩かない」「秋田県 一白水成」

f:id:sushibaiken:20180204110938j:image

4月の第九歩目のイベント「食べ歩かない」が決まりました。

秋田県 一白水成です。

秋田県五城目町にある「福禄寿酒造」さんで醸される、「白」い米と「水」から「成」る「一」番旨い酒という思いで「一白水成」と名付けられたこのお酒は、米の旨味と控えめな香りの食中酒向きのお酒です。

 会の当日は渡邊康衛社長がお越しになります。渡邊くんは秋田の蔵元5社が集まって共同で1本の酒を仕込む「NEXT5」(一白水成・山本・春霞・ゆきの美人・新政)にも参加しており、秋田の酒業界をリードしていく存在のひとりです。今話題の秋田の酒の面白い話が聞けることと思います。

 

そして料理は秋田の郷土料理。秋田といえば、きりたんぽに比内鶏、ハタハタやしょっつる鍋いぶりがっこ稲庭うどんなどが有名ですね。僕はおふくろの生まれが秋田なので、子供の頃から秋田の料理にはなじみがありますので、こちらもご期待を。

 

「日本全国食べ歩かない」第九歩 「秋田県 一白水成

日時 4/14(土)18:00スタート 完全予約制

内容 「一白水成」呑み放題と秋田の郷土料理フルコース

会場 武蔵小山 梅軒カウンターにて

会費 1万円(税込/ご予約時に現金または振込にてお支払いお願いいたします)

 

 

  酒と鮓 梅軒

 

 

 

3/25(日)西麻布にて日本酒イベントやります

f:id:sushibaiken:20180304113801j:image

僕の後輩が企画した日本酒のイベント【今さら聞けない酒の会(仮)】にて講師(なんちゃって)をすることになりました。

この会は「日本酒の可能性、常識・非常識などをコンセプトに、特にいま日本酒に興味が出てきた初心者でも気軽に楽しめる酒の会」だそうです。

僕はそこで日本酒の話をするわけですが、まぁ日本酒の堅苦しい情報的なこと(本やネットを見ればわかること)は簡単に、どちらかと言えば楽しく呑むこと・呑み方などの提案ができればと思っています。

ざっくりと考えている今回の会の内容は、今まであまりしてこなかった呑み方(日本酒のロックやソーダ割り、違う日本酒どうしのブレンドなど)や、もちろん定番のきき酒や味わいについて、グラスや温度の違いで同じ酒なのに変わる味の呑み比べなど…です。もちろん、酒に合わせたつまみもお出しします。

今後も定期的に開催予定とのことで、いずれは蔵元見学ツアーや蔵元さんにお越しいただいての日本酒造りの話、さらにはこの会オリジナルの日本酒を造れたら…などを企画しているそうです。

最近、日本酒に興味をもってきた方も、元々日本酒大好きな方もよろしければ是非ご参加ください。

そして、すいませんがこの日は僕が講師で出てしますので、梅軒の夜の営業はお休みさせて頂きます。

 

【今さら聞けない酒の会(仮)】

開催日 3/25(日)17:00開場 17:30スタート 20:00くらい終了

場所 西麻布 【霞富士】 港区西麻布1-10-7ウエストフローラAZABU1F(上の写真が入口です)

会費 ¥5000(税込)

内容 日本酒4~5種類+酒のあて数種+ごはん

予約 霞富士 03-6447-1235 担当:飯塚まで 

会場の都合で20名ほどで締切になるそうです。完全予約なので、ご予約はお早めにお願いいたします。

 

  酒と鮓 梅軒

 

 

 

今のおまかせコースの料理内容

f:id:sushibaiken:20180224105400j:image

ここ最近はイベントの料理ばかりUPしていたので、今日は久しぶりに通常のおまかせコースの今の献立をご紹介。

まだまだ寒いのが続くので、最初は温かいもので。岩水雲(いわもずく)と芽かぶの雑炊です。初めに軽くごはんを少し胃に入れておくと悪酔いしにくいかなと。

 

 

f:id:sushibaiken:20180224105409j:image

その後は酒のアテ、酒肴の盛り合わせ。手前右から時計回りに牡蠣の生姜オイル漬・赤貝肝煮・赤海鼠(なまこ)酢・鮟肝ぽん酢・海藤花(かいとうげ)塩辛・ぎばさ・ピーマンとガリと昆布佃煮の和え物です。

海藤花は真たこの卵の塩辛です。独特の香りと風味で酒が進みます。煮物で出ることが多いタコの卵ですが、トロっとした食感の塩辛も美味しいですよ。タコは巣穴の天井に卵を産み付けますが、それが藤の花が咲いたような感じに見えることからこの海藤花の名が付きました。

ぎばさは秋田でよく食べられるネバネバした海藻です。粘りも強くクセのない海藻の味が美味しい珍味です。

 

 

f:id:sushibaiken:20180224105420j:image

お造りは天然寅河豚鉄刺(てっさ)。十分寝かした寅河豚は味わい深い一品です。

フグのひれ酒のご用意もありますよ。

 

 

f:id:sushibaiken:20180224105430j:image

そして牡蠣の茶碗蒸し春菊餡かけです。プリっとした牡蠣と蕪、そして青い香りの春菊がよい相性です。香りで上から柚子を振ってます。

 

 

f:id:sushibaiken:20180224105440j:image

写真の握りは左下より時計回りに皮剥(かわはぎ)肝のせ・小鰭(こはだ)・鮃(ひらめ)・真鯛万年味噌のせ・春子(かすご)です。

写真にはありませんがこの日はこれの他に、赤貝・青柳・帆立磯部・鯵・鰯・疣鯛・金目鯛・のど黒・縞海老海老味噌魚醤・墨烏賊いしる・厚焼玉子などから、なんだかんだと大体12~13貫くらいお出ししています。

コースの内容は季節や海の状態で変わりますが、大体こんな感じで¥6,000(税サ別)です。おなかの空いている方はコースがお得なのでおすすめしています。

アラカルトでは寒い日が続いているので、ひとり用の小鍋も始めました小鍋は湯豆腐・寅河豚てっちり・蟹鍋などです。こちらも是非ご利用ください。

 

  酒と鮓 梅軒

 

 

 

「日本全国食べ歩かない」第六歩 「東京都 江戸開城(東京港醸造)」其の弐

f:id:sushibaiken:20180116171717j:image

「食べ歩かない」第6歩「東京都 江戸開城東京港醸造さんの会の続きです。

割鮮 鯉洗い 鯉 煎酒 酢味噌 茗荷 大葉 大根 卸生姜

江戸時代に真鯛と並んで人気だった魚が鯉。皆さん泥臭いというイメージがある方が多いですが、ちゃんと泥を吐かせたりしたものはまったく臭みなんて無く、脂ののったしっかりとした身の食感で美味しいんです。

鯉は小骨があるので薄く切るか、かるく骨切して氷水で洗いに。

当時は醤油ではなく酢味噌で食べるか、煎り酒につけて食べるかでした。煎り酒とは梅干と酒、鰹節、昆布などを一緒に火にかけ、少し煮詰めて漉したものです。梅の風味と塩分のきいたさっぱり味のつけタレです。さっぱり味好きの江戸っ子のお好みの味って感じですね。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171730j:image

鯉は川魚なので、もちろん泳ぎで仕入れます。鯉は丈夫で真水で運べたので、冷蔵設備や輸送に時間のかかった当時でも鮮度の良い状態で仕入れることが可能だったので、より重宝されたのではと思います。

卸すときには一度、包丁のみねで頭をぶっ叩いて脳震盪をおこさせてから〆て卸します。

ちなみに鯉こくを作るときは内臓と鱗はついたままが基本です。鯉のウロコは火を入れると柔らかいので食べれるんです。ま、大半の方にはウケはよくないんですが…(泣)

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171744j:image

焼物 牡蠣田楽 牡蠣 蕗味噌

昔は江戸前の海でも牡蠣は獲れたそうです。今とはずいぶん違いますね。当時は埋め立てもなく、海も綺麗だったんでしょう。鱧や鮪なんかもあがったそうです。

牡蠣は鍋で乾煎りし、串に刺して蕗味噌を塗りサッと焼き上げます。

蕗味噌と牡蠣の濃厚な感じが酸味のあるパラカセイといい相性でした。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171817j:image

酢物 占地茸海苔酢 占地 もみ海苔 三杯酢

シメジのシンプルな酢の物です。海苔の香ばしい香りとミネラル感にクセのないシメジの味が良いです。多分当時は本シメジだったので、もっと味わい深いものだったと思いますが、今では本シメジはまず手に入らないので一般的に出回っているブナシメジで作りました。 

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171830j:image

煮物 大根煎出し 大根卸 浅葱

これは大根を生のまま胡麻油のみでじっくりと揚げて火を通し、上に大根おろしと浅葱をのせ醤油をかけただけという、これぞ江戸料理というシンプルで滋味深い一品。写真では伝わらないですが、生のまま揚げた大根は独特の食感で、いうなれば大根のコンフィという感じです。さらに大根の上にまた大根(おろし)をのせているのも、火の通った大根の甘い感じと大根おろしの生の感じとふたつの大根の味わいがあるのも特徴的。また味付けが醤油だけってのも江戸っ子らしいですな。生の大根を揚げるという行為だけで火を入れるのは結構時間がかかります。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171839j:image

飯物 江戸鮓 鮪漬 小鰭酢〆 玉子巻 がり

江戸時代、関西のなれ鮓から派生してできた握り鮓はせっかちな江戸っ子には大変人気だったそうですが、当時はまだ米酢が高価なものだったのでなかなか庶民の口には入らなかったそうです。そこである人がなんとか安い酢を大量に造れないものかと考え、当時たくさん出ていた酒粕から酢を造ることを発明しました。これは色が赤っぽいので赤酢と呼ばれ、安価でそれでいて鮪などの味に合うということで庶民の間で人気になり、江戸の巷では握り鮓が大流行しました。この赤酢を発明した人こそあの「ミツカン」の創始者だそうです。スゴイねミツカン!この赤酢を使った庶民向けの握り鮓のシャリが赤いのに対して、高価な米酢を使ったシャリが「銀シャリ」と呼ばれる所以なのではと僕は考えます。

冷蔵設備のない当時、鮓のネタにはすべて処理が施されていました。火を通したり、酢〆したり、塩で〆たり、醤油で漬けにしたりと。少しでも涼しい所に置こうと、桶に入れたネタを井戸の中、水ギリギリのところまで下げて置いたりなどの工夫もしていたそうです。

写真わかりにくいですが、当時の鮓はお稲荷さんくらい大きかったそうです。ちょっと小腹がすいた時に屋台の鮓を2~3個食べたら十分だったのでは。そもそも1貫の「貫」は目方の「貫」だそうで、だいたい40~50gで今のお鮓の2個分くらいの重さです。そしてこの握り鮓は花街のおねぇさん方の手土産にも喜ばれたそうですが、お化粧をしたおねぇさん方には少し握りが大きかったらしく1貫を切って2つにしていたそうです。その名残が回転寿司などにある1皿2個(1貫の重さ=2個)のルーツだそうです。

鮪の赤身は叩きにして醤油漬けに。当時の鮪は安価で下魚でした。「おめぇ鮪なんか喰ってんのかよっ」って感じだったそうです。それを上手に美味しくしたのがこの漬けの握り鮓。これにより鮪も市民権を得たそうです(まだまだ赤身に限りますが)

コハダは塩で〆てから酢〆に。当時は2日間ほど塩で〆ていたらしく、非常にしょっぱいものだったそうです。今回はそこまではしませんが、軽く薄塩をして1日おき、酢で〆てみました。鮓に醤油を塗って出すというかたちにしていないので、元々の味をしっかりとつけてみました。

 

f:id:sushibaiken:20180218180614j:image 

当時の江戸の鮓の絵です。下のほうに海苔巻きも見えますが、黄色の玉子巻が前面にあります。シャリに刻んだ干瓢と海苔を混ぜ、薄焼き玉子で巻いたものです。

今回はウチでいつも焼いている海老のすり身の入った厚焼玉子を薄く焼き、それで巻いてみました。お客さんのウケが非常に良かった一品です。子どもにも喜ばれそうな味です。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171849j:image

留椀 納豆汁 叩き納豆 小松菜 豆腐 芥子 江戸味噌仕立

江戸っ子一番人気の味噌汁がこの納豆汁だったそうです。叩いた納豆に江戸野菜でもある小松菜と豆腐を入れ、江戸味噌で味をつけ、風味に溶き芥子を少々。納豆はよく練ってから入れると香りと味がよく出て美味しいです。

今では造るところが少なくなった江戸味噌。味噌は本来「手前みそ」なんて言葉があるくらい普通に家で造るものでした。ウチの田舎でも大きな樽で毎年味噌を造っていました。ですが、仙台味噌など多くの味噌は発酵&熟成で食べられるまで1年以上の時間がかかるものが多く、当時の江戸の狭い長屋事情では1年もの間大きな樽を家に置いておくスペースがなかったのだそうです。そこで一般家庭に代わり味噌を造って売る味噌屋ができました。それでも江戸の庶民分の樽など1年以上置いておくにはかなりのスペースが必要です。そこで考えられたのが、少ない発酵時間で出来上がる味噌。そうすれば場所が少なくてもすぐに味噌ができるので、せっかちな江戸っ子にはありがたかったそうです。これが江戸味噌のはじまりだそうです。江戸味噌は通常の味噌よりもかなり多くの麹を入れ発酵させ、2週間ほどで食べられるようになります。発酵時間が短い分、賞味期限も短いですが当時はその短いサイクルが庶民の暮らしに合っていたのだと思います。江戸味噌の味はあっさりとした味で麹の甘みがほんのりとあるクセのない味噌です。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116172138j:image

お香々 三ツ輪漬 大根 柚子 唐辛子

香の物ではなく、あえてお香々(おこうこ)と当時を想って書いてみました。

三ツ輪漬け(みつわづけ)という当時のお漬物です。大根、柚子、唐辛子の3つを輪切りにし、酒と醤油を煮切ったもので漬けたシンプルな漬物。食べるのは大根だけですが、柚子の酸味と香りがほどよく大根にしみて、唐辛子の辛味もいいアクセントになっています。酒のアテにもお茶請けにもよいこの漬物、個人的に気に入ってます。最近、店でこの漬物を刻んで細巻きにしてます。ちょっとした箸休めにも口直しにもなる細巻きです。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171906j:image

合計3回やらせていただいた今回の「東京都 江戸開城」の会。本当は東京23区で2件目の酒蔵だったのですが、会の最中にもう1件ある北区の丸真正宗さん(小山酒造)が今月いっぱいで日本酒の製造をやめられるというニュースが入りました。残念なお知らせです。23区では唯一の酒蔵になってしまった東京港醸造さん。新たな東京の味として頑張ってほしいです。

そして杜氏の寺澤さん、近いとはいえ造りの忙しい中の参加ありがとうございました。東京の酒ということで、参加された皆さんも興味深い話が聞けたと思います。

僕はといえば今回の江戸料理に関して、図書館などでいろいろ文献や本で調べて想像で作りましたが、非常に勉強になりました。シンプルながらも素材の組み合わせや調理法で奥深い味わいを出す江戸料理に日本料理の本質を垣間見れた気がします。

東京港醸造さんの会はまた秋くらいに開催したいと思っています。次回は「剣客商売」や「鬼平犯科帳」に出てくる江戸料理を再現した「池波正太郎の料理」なんかをやりたいですね~。

 

3月10日(土)の「日本全国食べ歩かない」第8歩目「群馬県 浅間山の会にまだ少し空きがあります。ご興味ある方は是非ご連絡ください。

 

  酒と鮓 梅軒

 

 

 

「日本全国食べ歩かない」第六歩 「東京都 江戸開城(東京港醸造)」其の壱

f:id:sushibaiken:20180218121621j:image

「日本全国食べ歩かない」の第6歩目の「東京都 江戸開城、おかげ様で募集も多く1月から3回にわたって行っていましたが、昨日最後の会が終わりました。なのでまとめてご報告を。

上が会のときの酒のラインナップ。江戸開城」の純吟雄町・純吟山田錦生・純吟美山錦・純吟パラカセイ・どぶろくです。3回の会で若干お酒のラインナップも違いましたが、そこはそれぞれに参加された方の楽しみということで。

元々どぶろく造りから始まった蔵なので、このどぶろく美味しいです。例えるなら酸味の少ない甘くないマッコリという感じでしょうか。スルスルと呑めます。

そして珍しいのが純吟パラカセイ。乳酸菌の一種のパラカセイ菌を使った酸味の強い酒です。ちょっと白ワイン的なテイストで、コクのある料理や揚物、酢の物なんかとの相性が良いです。

そしてよく聞かれると杜氏さんもおっしゃっていたのが、仕込み水の話。ここ東京港醸造さんでは仕込み水は「東京都水道局」の水、いわゆる水道水で仕込んでます。東京の水もずいぶんおいしくなったとのこと。たしかにお酒を呑んでみても違和感などまったくありません。水道の水でもこんな美味しい酒ができることに驚きです。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171512j:image

いつもの「食べ歩かない」ですとその地酒の土地の郷土料理を作るんですが、今回は東京ということで、郷土料理ではなく昔の「江戸料理」を再現してみました。図書館に行って江戸時代の本などを調べ、普段なかなか作ることがない料理も多く勉強になりました。

ちなみに今回はパンフレット代わりに江戸時代の魚の番付表をコピーしてきました。今とは随分魚の価値が違っていて、当時のお江戸事情なども察することができ面白いです。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171535j:image

会に来てくださったのは東京港醸造杜氏の寺澤さん。元々は大手酒造メーカーさんで酒造りをされていたそうです。お話を聞くとかなりアクティブな杜氏さんです(笑)

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171547j:image

食前酒 生姜酒 江戸味噌

寒い時期に江戸っ子が呑んだこの生姜酒は、鍋で卸した生姜と江戸味噌を乾煎りし、そこに酒を注いで燗をつけたもの。味噌の風味があり、酒と肴をいっぺんに呑んでるような感じです。生姜とお燗の効果で体がすごい温まります。

これに使った江戸味噌は後半の留椀のお味噌汁の時にまた詳しく。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171604j:image

先付 鯛飯 大根卸 浅葱 針生姜 唐辛子

お茶漬け風のこの鯛飯。江戸時代ではダントツナンバー1の魚は真鯛だったそうです。おめでたい席や縁起のよい魚として重宝され、非常に高価だったそうです。

まず鯛を茹で、その茹で汁で米を炊きます。茹でた鯛の身はほぐして、炊きあがった米と混ぜます。そのうえに薬味をのせ鰹節のきいたしっかり味の出汁をはって出来上がり。当時の江戸は出汁は鰹節のみでとっていたそう。関西では昆布と鰹節ですね。

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171622j:image

前菜 蛤臭和え 蛤 白葱 赤白味噌

臭和え(くさあえ)と読むこの料理は蛤の味噌和えなんですが、臭いという名の通り生の葱を当たり鉢でよく擦りおろしたものが入っていて、生の葱の強烈な香りが特徴です。赤と白味噌ブレンドに味噌7:葱3の割合で擦りおろし生葱が入ります。確かに臭いですが、この味噌が酒のアテに最高なんです。ちょっとなめるだけでスルリと酒が呑めてしまいます。この臭和えの葱味噌でおでんを食べても美味しいです(これは岩手の「つつけ」という料理になります)

 

 

f:id:sushibaiken:20180116171646j:image

吸物 葱鮪汁 鮪 白葱 芹

ねぎま鍋の汁物バージョン。当時、鮪のトロの部分は畑の肥やしにするほど、江戸っ子は脂っこくて嫌っていました。当時の番付表でも鮪は「下」です。それをなんとか美味しく食べれないかと庶民が考えたのがねぎま鍋。本来のねぎま鍋はすき焼きの地ほどの濃さの出汁で食べていたそうですが、今回は汁物にしたのでそこまでは濃くしていません。ですが江戸のテイストを味わってもらうために味付けは濃口醤油のみ。醤油のきいた出汁とトロの脂の香りとコクがいい感じです。芹の青みがかった香りもいいアクセントになっています。

 

其の弐に続く・・・

 

  酒と鮓 梅軒

 

 

参加者募集!「日本全国食べ歩かない」第八歩目「群馬県 浅間山」

f:id:sushibaiken:20180204110905p:image

「日本全国食べ歩かない」の第八歩目の開催が決まりました。

群馬県 浅間山です。

浅間山を醸す浅間酒造は草津温泉のほど近くに位置し、標高も高く冬場はかなり寒い土地です。草津では観光センターや「ホテル櫻井」などの旅館業もやられていて、かなりの地元の名士です。僕も「ホテル櫻井」に泊まらせてもらったことがありますが、料理も美味しくホテルも大きく綺麗で、温泉も最高でした。ちなみにホテルの食事中にはばっちり浅間山が呑めます。

お酒は食事に合うようにとすっきりとした味わいの中に米の旨味の余韻が残る…そんなお酒を造っています。今回は造りのまだまだ忙しい中、櫻井武社長みずから来店くださいます。

さて群馬県の郷土料理は海なし県なので、やはり粉ものや根菜やきのこなどの里のものが中心となりますが、群馬はすき焼き自給率日本一を誇る県でもあるので、贅沢に上州牛と下仁田葱と蒟蒻、春菊などのすき焼きでもやろうかと思っています。最高級ニジマスと呼ばれる「ギンヒカリ」やイワナも有名なので、このあたりも献立に組み込もうかと…。

カウンターのみの小さな会なので蔵元さんとの話も近く、毎回いろんな質問や話ができて皆さん楽しんでもらえているようです。ご興味のある方は是非お気軽にお問合せください。

 

「日本全国食べ歩かない」第八歩「群馬県 浅間山

3/10(土)18:00~ 浅間酒造 櫻井武社長をお招きして

内容:「浅間山」呑み放題+群馬県の郷土料理フルコース

会費:1万円(税込/ご予約時に現金または振込にてお支払いください)

会場:酒と鮓 梅軒(武蔵小山駅徒歩5分)

ご予約お待ちしております

 

  酒と鮓 梅軒