「日本全国食べ歩かない」第14歩【福井県 早瀬浦】其の弐
揚物 サバエドッグ キャベツ カワグチソース 芥子
鯖江市イチオシのご当地料理がこのサバエドッグ。福井ではかつ丼と言うとソースかつ丼なのですが、このソースかつ丼を歩きながら食べられるのがこのサバエドッグなんです。串にごはんを付けてそこに豚肉を巻いて衣をつけ揚げたものに、ご当地ソースのカワグチソースをたっぷりと漬けたフランクフルトタイプのものです。なかなか面白い料理です。
煮物 沢庵の煮たの
大野里芋ころ煮
こんじょなます 大根 打ち豆 薄揚げ 椎茸 人参
沢庵の煮たのは福井の家庭料理の定番です。古漬けになってしまった沢庵を塩抜きし、柔らかく炊いたものです。ほんのりと沢庵の香りと味もある大根の煮物はお茶請けにも酒のアテにも良いです。
福井県大野市の特産品に里芋があります。大野の里芋はキメも細かくねっとりとしていて非常に美味しい里芋です。これを蒸して皮を剥き、醤油味で甘辛く炊いたものです。素朴な味ですが、大野産の里芋の旨さが引き立つ料理です。
こんじょなますも福井の家庭料理のひとつです。大根や人参をやや太めの細切りにし打ち豆などを入れ醤油味で炊いたものです。打ち豆は福井ではよく使う食材のひとつです。
はまな味噌
香物 すこ
新鮮な魚介類が獲れる福井県三国地方の郷土料理の鯛まま。某大手日本酒メーカーのCMで一躍有名になった料理です。新鮮な真鯛を皮付きで切り、醤油たれや胡麻たれに漬けて熱々の白ご飯にのせて食べる料理です。〆にはお好みで山椒や山葵をのせて鯛の骨からとった出汁でお茶漬けに。いろいろ味を変えられるので、ご飯が何杯でも食べれます(笑)
はまな味噌は大豆と麹で甘めに造った味噌に茄子を加えたおかず味噌です。ほんのり甘いおかず味噌は子どもから大人まで人気で熱々ご飯のお供に最高です。
すこ=八つ頭(芋)の赤い茎の甘酢漬けです。シャキシャキとした食感とサッパリとした味のお漬物です。
留椀 芽かぶ味噌汁 豆腐 白葱
福井でよく採れる海産物のひとつに芽かぶがあります。定番の酢の物などもありますが、今回はお味噌汁に。
今回、スペシャルで持ってきていただいたものはこちらの「平成11年度 金賞大吟醸」。蔵の跡継ぎである三宅くんが蔵に戻ってから初めて全国の品評会で金賞を取った大吟醸です。約20年前の熟成酒ですが、蔵できっちり冷蔵完備していたので味わいは丸く、香りも穏やかで、20年も前の酒とはとても思えない深い味わいでした。三宅くんにとっても思い入れのある酒ですが、今回の会のためにと特別に持ってきてくれました。
奥にいるのが早瀬浦を醸す三宅彦右衛門酒造の三宅範彦くんです。
三宅くんとの付き合いは古く、福井県の酒造組合が初めて東京で酒の会をやったときに出会いました。かれこれ20数年くらい前でしょうか。その時に初めて早瀬浦を呑んでこれはと思い、お世話になってる酒屋さんにお願いして酒を取ってもらいました。当時から素朴でしっかりとした味わいの酒質はいまも変わらず、飽きのこない酒です。真面目な三宅くんの人柄が出ている酒ですね(笑)
三宅くんを誘い皆さんで行った二次会もたっぷり呑んでみないい気分で帰路につきました(笑)
次回の「日本全国食べ歩かない」は9/29(土)「新潟県 山城屋」です。
酒と鮓 梅軒
「日本全国食べ歩かない」第14歩【福井県 早瀬浦】其の壱
2週連続で「食べ歩かない」の会でした。今回は「福井県 早瀬浦」です。
福井県美浜町にある早瀬浦を醸す三宅彦右衛門酒造さんは三方五湖という湖に囲まれた漁師町にある酒蔵です。のどかで風光明媚な場所にあります。
東京から行くとなると、新幹線で米原まで出て特急で敦賀まで行き、そこからローカル線に乗って行くのでかなり時間がかかります(汗)
そんな遠方から蔵の跡継ぎの三宅くんに来てもらいました。
今回のラインナップは早瀬浦特別純米・夜長月、特別純米・涼み酒、山廃純米、純米の4種類にスペシャルの1本。漁師町の酒らしくどっしりとした味とキレのある呑みごたえのある酒です。
福井の見どころのひとつでもある曹洞宗の本山の永平寺。その精進料理の中のひとつでもある胡麻豆腐が有名です。しっかり味の胡麻豆腐には鰹節のきいた出汁と山葵で。
胡麻豆腐は豆腐と名がつくものの、大豆を使っているわけではありません。煎った胡麻を擂り潰し、水を入れ漉します。それに葛粉を溶かし入れ、火にかけて練り上げて型に入れ冷やし固めたものです。非常に時間と手間がかかる料理です。
前菜 鯖なれ鮓 鯖へしこ 大根
若狭から京都までの道のりは新鮮な焼鯖を運ぶ大事な街道で鯖街道と呼ばれていました。その頃から若狭の鯖は有名でした。そんな中、保存食としてできたのがこの鯖のへしこです。鯖を塩漬けにしたあと、糠床につけ半年~1年ほど熟成させた珍味です。
かなりしょっぱい味ですが薄くスライスしてそのまま食べたり、軽く炙ったものをほぐしお茶漬けにするのが一般的です。香ばしい味わいは日本酒のアテに最高です。
鯖のなれ鮓はこのへしこを使いつくります。へしこを塩抜きしたあと麹につけこみ10~20日くらい熟成させたものです。麹の甘い香りと熟成された糠の香りが美味しいのですが、乳酸発酵なので好き嫌いはあるかと。
汁物 越前蕎麦 辛味大根 洗葱 鰹節
福井で蕎麦といえばこのスタイル。ぶっかけのおろし蕎麦です。冬でもこれが定番です。シンプルでいて飽きのこない味です。今回は辛味大根と普通の大根をブレンドして、ほどほどの辛味にしました。
割鮮 小鯛笹漬 山葵
福井のお土産ものの定番のひとつがこの小鯛の笹漬です。
今回はしっかりと酢漬けにしているお土産物とは一味変えて、サッと酢〆して笹漬にしました。笹のほのかな青い香りがいいですね。
其の弐へ続く…
酒と鮓 梅軒
「日本全国食べ歩かない」第13歩【熊本県 花の香】其の弐
割鮮 熊本馬刺 九州甘醤油 霜降バラ ふたえご 高尾根 玉葱 貝割大根 卸生姜
熊本といえばやっぱり馬刺!全国でもダントツの消費量です。
今回は霜降りのバラ肉に、ふたえご(三枚肉の骨なし部分)、高尾根(コウオネ・たてがみの下の脂部分)を熊本から送ってもらいました。それぞれに味わいが違っていて流石本場の馬刺は美味しいですね。そして馬刺には九州の甘い醤油を。馬刺にはこの甘い醤油がよく合いますね。
珍味 豆酩 辛子蓮根 一文字ぐるぐる
左下の豆酩(とうべい)という珍味は豆腐のもろみ味噌漬けです。かなり昔からある保存食だそうで沖縄の豆腐蓉にも似た感じですが、クセもなく味わい深く和風チーズのような味は酒のアテには最高です。
右下は一文字ぐるぐるという料理で、ひともじ(分葱)を茹でたものをくるくる巻き付けて酢味噌をかけたものです。この一文字ぐるぐるに使うサイズの葱が関東では手に入らないので今回は分葱で代用を。
左上は辛子蓮根。熊本を代表する郷土料理ですね。芥子のきき具合は造る店によって随分違いますが、今回はほどほどに(笑)
香物 阿蘇高菜
ぶえん鮓のぶえん=無塩のことで、新鮮な魚が獲れるので塩をしなくても美味しく食べれるということだそうです。鯛やこはだなどの新鮮な魚を角切にして酢〆し、椎茸や人参なども一緒に甘めのシャリに混ぜ込んだ鮓です。
香物は阿蘇の高菜漬け。阿蘇山の高菜は雪にあてて育てた高菜は福岡の高菜漬けとはまた一味違い、葉のしっかりした味わいがありすごく美味しい高菜です。
留椀 つぼん汁 鶏もも 大根 人参 里芋 牛蒡 豆腐 蒲鉾 蒟蒻 椎茸
熊本の人吉や球磨地方の郷土料理のつぼん汁。元々は深めの壺でつくられていたからこの名がついたそうです。いわゆるけんちん汁的な汁物ですが、かまぼこが入るあたりが九州って感じですね。お澄まし仕立ての醤油味などが定番ですが、今回は熊本の米麦ブレンドの球磨味噌を使いました。ほんのりと甘い麦味噌は西の方では定番の味噌です。
今回、神田さんの酒造りへの思いや、経営が倒れかけていた蔵の再生などのお話をしていただき、皆さん興味津々に話を聞かれそして花の香に舌鼓を打っていました。神田さんと一緒に二次会も皆さんと行き、ざっくばらんな話でこちらも盛り上がりました。
蔵のあるあたりはまだ熊本地震の時の影響があるそうで、先日の西日本の豪雨では至る所で土砂崩れがあったそうです。早く落ち着つくといいですね。
まだまだ小さな蔵元さんですが、じりじりと名前が売れてきているのでこれからいろんなところで見かけることも多くなると思います。是非、花の香の優雅な香りを楽しんでみてください。
神田さん、お忙しいところありがとうございました。
次回の「日本全国食べ歩かない」第14歩は明日9/1【福井県 早瀬浦】です。
酒と鮓 梅軒
「日本全国食べ歩かない」第13歩【熊本県 花の香】其の壱
先日「日本全国食べ歩かない」第13歩目【熊本県 花の香】さんの会を行いました。
花の香を醸す花の香酒造さんは熊本県の北部・和水町にあります。
今回のラインナップ、花の香・スパークリング雪花、純米大吟・和水、純米大吟・桜花、純吟・菊花の4種類。花の香の名前らしく香りのよい華やかな酒質のお酒です。
特にスパークリングには力を入れていて、瓶内二次発酵の元気のよい炭酸と爽やかな香りが特徴的です。今回はこのスパークリングでみんなで乾杯を。
六代目社長兼杜氏の神田清隆さんにお越しいただきました。神田さんは山口県のあの獺祭さんで修行をされたそうです。神田さんが戻ってから酒質が一気にUPして2年で今までの約10倍の生産量になったそうです。
そんな神田さんに蔵の話や酒造りの話を聞きながら、熊本の郷土料理を楽しんでいただきました。
熊本の北西部に位置する南関町発祥の油揚げがこの南関揚げです。元々は愛媛県の伊予松山の「松山揚げ」がこの地方に伝わって、そこから出来上がったそうです。
九州ではメジャーなこの南関揚げ。油揚げといっても関東の油揚げとは違い乾燥した状態で売っていて、戻して使ったり、そのまま味噌汁に入れて食べたりと用途はいろいろ。しかも食感が独特のシャキシャキしたような食感でこれが美味しいんです。
この南関揚げを油抜きして甘辛く炊いて稲荷鮓に。シャリの中には茎山葵の醤油漬と胡麻を。
吸物 太平燕(タイピーエン) 豚ばら 海老 烏賊 鶉玉子 レタス 玉葱 人参 韮 木耳 青梗菜 春雨
タイピーエンというこの料理は、元々は中国の福建省の料理ですが熊本で根付いて熊本市の中華料理屋では普通にメニューにもあり、学校の給食でも出るくらいメジャーな料理だそうです。
豚出汁や鶏出汁を使い、麺の代わりに春雨を入れて、具沢山の肉や野菜を炒めたものを乗せた料理です。本場熊本では揚げた玉子をのせますが、今回は鶉の玉子で。
ボリュームがありますが、麺ではなく春雨なのでサラッと食べれます。呑んだ後なんかには軽くていいですね~。
其の弐に続く…
酒と鮓 梅軒