「日本全国食べ歩かない」第一歩 高知県 酔鯨 無事終了しました
昨日、第一歩目の「日本全国食べ歩かない」のイベントが無事終了いたしました。
8名という少数限定での会でしたが、皆さんたくさん呑んでいただいて、大盛り上がりで終わることができました。ありがとうございました。
当日は酔鯨酒造の大倉社長みずから来てくださいました。大倉社長とは、彼が高校生の頃からの付き合いなのでかれこれ20年くらいになります。かわいい弟分です(笑)
先付 冷製こうし飯 しらす 沢庵 岩海苔
高知では年末にしらす(じゃこ)沢庵、岩海苔を混ぜたご飯を食べる風習があり(今では年末に限らず普通に食べますが)、「年越し飯」がなまって「こうし飯」になったと言われています。今回は暑い時期なので、冷たい出汁をかけて冷やし茶漬け風に。
前菜1 どろめ 三杯酢 浅葱 黄金生姜
高知では「生しらす」のことを「どろめ」といい高知市の東、赤岡では毎年春に「どろめ祭り」が開催され、有名な日本酒の1升早呑み大会が行われています。
どろめは三杯酢、もしくは酢味噌で食べるのが土佐の定番。
前菜2 虎杖と薄揚げの煮物
「虎杖」と書いて「イタドリ」と読みます。イタドリは日本中どこにでもありますが、食べるのは高知以外では僕は見たことがありません。全国いろいろな呼び名がありますが、僕の地域ではイタドリ=スカンポと呼んでました。子供の頃、野原に生えているイタドリをちぎってはガジガジしてました。生だと酸っぱい味がします。
イタドリも時期は春ですが、高知のおばちゃんたちは春に採ったイタドリを塩漬けにして冷凍保存して1年中食べます。日曜市などでよく売ってますね。コリコリした歯ごたえと、どこか懐かしい香りが特徴の山菜(ほぼ雑草)です。
今回は定番の薄揚げと炊きました。
前菜3 川海老と胡瓜の煮物
夏の四万十の定番料理です。砂糖と醤油でシンプルに味付けしたものに、少しとろみをつけて冷たして食べます。普段はそのまま煮る川海老ですが、今回は香りを出すために、一度素揚げした川海老を炊きました。胡瓜の青い香りと川海老の香ばしさがいい相性なんです。
吸物 鯨のはりはり汁 水菜 針生姜
冬場に食べる「鯨のはりはり鍋」を吸物仕立てで。今回はミンク鯨を使ったので、クセの少ない上品な味に仕上げました。鯨からもいい出汁がでます。
割鮮 鰹藁叩き 茗荷 青葱 黄金生姜 大蒜
高知といえばのド定番「鰹の叩き」です。昔ながらの方法で、無農薬の藁を使い炙りました。藁で炙ることで、スモーキーな香りが鰹にのります。そして本来の「叩き」の意味である、薬味を鰹にのせ叩いてなじませた後、柚子ぽん酢をかけてます。柚子の果汁も実生の柚子(接ぎ木をしていない種から育った柚子)の果汁なので、香りが抜群です。
焼物 太刀魚酒盗焼 りゅうきゅうお浸し
太刀魚も高知ではよく獲れます。脂ののった大きな太刀魚に、高知名産の酒盗(鰹の胃袋の塩辛)のタレをかけて焼上げました。酒のアテにドンピシャでしたよ。
付け合わせには高知で「りゅうきゅう」と呼ばれる「はす芋」のお浸しを。はす芋はアクのない芋の茎の部分です。シャキシャキした食感が夏らしくて爽やかです。
肴1 心太 四万十青海苔
高知の心太は酢の物ではなく、冷たい出汁をかけたものです。地元のスーパーに行くと、普通に出汁入りの状態で売ってまして、中に柚子だったり、青海苔だったり、胡麻などが入っています。
今回は香りのいい四万十産の青海苔をかけました。
肴2 うつぼの叩き 葱味噌がけ
高知県では、あの「海のギャング」と呼ばれるウツボを食べます。茹でて酢味噌か、葉にんにくの味噌をかけて食べるのが一般的ですが、葉にんにくの時期は春なので、高知産の青葱味噌で。ウツボは骨の入り方が他の魚と違い、かなり特殊なので骨を抜くのにコツがいるんです。
御飯物 鯖の姿鮓 茗荷 黄金生姜 胡麻
こちらも名物の鯖の姿鮓。酢〆した鯖(高知では清水鯖を使います)に、薬味を入れたシャリを抱かせて棒鮓に。柚子の果汁を入れてるので、サッパリとした味。
鯖の姿鮓にも使ってる「黄金生姜」は高知県産のブランド生姜。辛味と香りの強いヒネ生姜です。普段、梅軒 のガリはこの生姜を使っています。
留椀 糠の味噌汁 鰹中骨 韮
味噌汁に糠床を少し溶き、焼いた鰹の中骨と韮を入れた味噌汁です。糠が入ることで、風味とコクがでます。酒のアテにもなる汁物です。
香の物 りゅうきゅう・胡瓜・茗荷和え
古漬けにした胡瓜に、スライスした生のりゅうきゅうと茗荷を和えたシンプルなお漬物。りゅうきゅうのシャキシャキ感がサッパリしてて夏向き。
甘味 あいすくりん ミレービスケット
こちらも高知の代表お菓子「あいすくりん」と「ミレービスケット」。
あいすくりんは関西でも売ってます。バナナのシャーベットのような、どこか懐かしい駄菓子の味です。
ミレーのビスケットは最近都内のコンビニでも売られるようになりました。粉の香りのちゃんとする、塩のきいたシンプルで美味しいビスケットです。
おかげ様で大盛況に終わることができました。実験的な日本酒のカクテルなんかも、皆さんそれぞれに割合など注文したりして楽しめました。
僕自身も久しぶりに高知の料理がつくれて楽しかったです。
大倉社長も、ご来店くださった皆さんもありがとうございました。
次回の第二歩の開催は8/25(金)の「宮城県 萩の鶴」です。
こちらもお楽しみに~。
酒と鮓 梅軒