酒と鮓 梅軒(バイケン)

武蔵小山の鮓(すし)割烹と日本酒の店です【住所】目黒区目黒本町5-16-3☎03-5708-5542 水曜定休

「日本全国食べ歩かない」第六歩 「東京都 江戸開城(東京港醸造)」其の壱

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「日本全国食べ歩かない」の第6歩目の「東京都 江戸開城、おかげ様で募集も多く1月から3回にわたって行っていましたが、昨日最後の会が終わりました。なのでまとめてご報告を。

上が会のときの酒のラインナップ。江戸開城」の純吟雄町・純吟山田錦生・純吟美山錦・純吟パラカセイ・どぶろくです。3回の会で若干お酒のラインナップも違いましたが、そこはそれぞれに参加された方の楽しみということで。

元々どぶろく造りから始まった蔵なので、このどぶろく美味しいです。例えるなら酸味の少ない甘くないマッコリという感じでしょうか。スルスルと呑めます。

そして珍しいのが純吟パラカセイ。乳酸菌の一種のパラカセイ菌を使った酸味の強い酒です。ちょっと白ワイン的なテイストで、コクのある料理や揚物、酢の物なんかとの相性が良いです。

そしてよく聞かれると杜氏さんもおっしゃっていたのが、仕込み水の話。ここ東京港醸造さんでは仕込み水は「東京都水道局」の水、いわゆる水道水で仕込んでます。東京の水もずいぶんおいしくなったとのこと。たしかにお酒を呑んでみても違和感などまったくありません。水道の水でもこんな美味しい酒ができることに驚きです。

 

 

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いつもの「食べ歩かない」ですとその地酒の土地の郷土料理を作るんですが、今回は東京ということで、郷土料理ではなく昔の「江戸料理」を再現してみました。図書館に行って江戸時代の本などを調べ、普段なかなか作ることがない料理も多く勉強になりました。

ちなみに今回はパンフレット代わりに江戸時代の魚の番付表をコピーしてきました。今とは随分魚の価値が違っていて、当時のお江戸事情なども察することができ面白いです。

 

 

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会に来てくださったのは東京港醸造杜氏の寺澤さん。元々は大手酒造メーカーさんで酒造りをされていたそうです。お話を聞くとかなりアクティブな杜氏さんです(笑)

 

 

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食前酒 生姜酒 江戸味噌

寒い時期に江戸っ子が呑んだこの生姜酒は、鍋で卸した生姜と江戸味噌を乾煎りし、そこに酒を注いで燗をつけたもの。味噌の風味があり、酒と肴をいっぺんに呑んでるような感じです。生姜とお燗の効果で体がすごい温まります。

これに使った江戸味噌は後半の留椀のお味噌汁の時にまた詳しく。

 

 

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先付 鯛飯 大根卸 浅葱 針生姜 唐辛子

お茶漬け風のこの鯛飯。江戸時代ではダントツナンバー1の魚は真鯛だったそうです。おめでたい席や縁起のよい魚として重宝され、非常に高価だったそうです。

まず鯛を茹で、その茹で汁で米を炊きます。茹でた鯛の身はほぐして、炊きあがった米と混ぜます。そのうえに薬味をのせ鰹節のきいたしっかり味の出汁をはって出来上がり。当時の江戸は出汁は鰹節のみでとっていたそう。関西では昆布と鰹節ですね。

 

 

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前菜 蛤臭和え 蛤 白葱 赤白味噌

臭和え(くさあえ)と読むこの料理は蛤の味噌和えなんですが、臭いという名の通り生の葱を当たり鉢でよく擦りおろしたものが入っていて、生の葱の強烈な香りが特徴です。赤と白味噌ブレンドに味噌7:葱3の割合で擦りおろし生葱が入ります。確かに臭いですが、この味噌が酒のアテに最高なんです。ちょっとなめるだけでスルリと酒が呑めてしまいます。この臭和えの葱味噌でおでんを食べても美味しいです(これは岩手の「つつけ」という料理になります)

 

 

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吸物 葱鮪汁 鮪 白葱 芹

ねぎま鍋の汁物バージョン。当時、鮪のトロの部分は畑の肥やしにするほど、江戸っ子は脂っこくて嫌っていました。当時の番付表でも鮪は「下」です。それをなんとか美味しく食べれないかと庶民が考えたのがねぎま鍋。本来のねぎま鍋はすき焼きの地ほどの濃さの出汁で食べていたそうですが、今回は汁物にしたのでそこまでは濃くしていません。ですが江戸のテイストを味わってもらうために味付けは濃口醤油のみ。醤油のきいた出汁とトロの脂の香りとコクがいい感じです。芹の青みがかった香りもいいアクセントになっています。

 

其の弐に続く・・・

 

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