「日本全国食べ歩かない」第12歩【高知県 土佐しらぎく】其の弐
割鮮 鰹塩叩き 茗荷 洗葱 芥子
夏の高知と言えば鰹。藁で炙るとスモークの香りがのり香ばしい叩きの出来上がりです。この時期の鰹の割にはずいぶんと脂ののった鰹でした。最近の高知での流行りの塩叩きで。
煮物 ごり玉子綴じ 笹がき牛蒡 三つ葉 粉山椒
ゴリ(ヨシノボリやカジカの子ども)をサッと牛蒡と一緒に炊いて玉子で綴じた、こちらも四万十や仁淀川周辺の定番料理。濃い味つけで甘辛にしてもご飯のおかずに美味しいですが、今回は薄味でゴリの風味を楽しめるように仕上げました。ゴリの骨のコリコリとした食感も味わいのひとつです。
津野山地区の郷土料理の豆腐の梅酢漬。よく水切りした豆腐を梅干を漬けるときにできる梅酢に10日ほど漬け込んだものです。塩分が強いので薄く切ってそのまま食べます。冷蔵庫などがないときの昔の保存食だったそうです。梅酢の酸味と塩分が酒のアテに良いですよ。
酒盗は高知を代表する珍味ですね。鰹の内臓の塩辛です。熟成して旨味ののった酒盗と一緒にクリームチーズで。ちなみに最近よく見かけるこの酒盗クリームチーズですが、25年ほど前に僕が考えた組み合わせなんですよ~。
飯物 こけら鮓 焼鯖 椎茸 人参 錦紙玉子 三つ葉 柚子酢
東洋町の郷土料理のこけら鮓。名前の由来は、こけら=木くずを散りばめたように見えるからとか、屋根を葺く「こけら板」に似ているからとか、家を建てた際に「こけら落とし」のお祝いに食されたとか諸説あるそうですが、とにかくお祝い事のときなどには食べるそうです。
焼いた鯖をほぐして、鮓酢の代わりにたっぷりの柚子酢(柚子の搾り汁)をシャリにまわして、何段にもなるように具材を挟み込んで層にして押し鮓にしたものです。柚子酢の風味とサッパリとした酸味に、鯖の塩分などが入り夏でももりもり食欲がでる味です。
留椀 ぬか味噌汁 鰹中骨 韮
焼いた鰹の中骨入りの味噌汁ですが、味噌と一緒にぬか漬けのぬかも入れて味をつけたものです。ほんのりと香るぬかの風味と韮の香りがクセになります。酒のアテにもいい感じの味噌汁ですね。
香々 がり 黄金生姜 新生姜
高知は日本一の生姜の産地です。国産生姜の半分近くが高知でつくられています。その高知のブランド生姜が「黄金生姜」です。他の国産生姜に比べ辛味と香りも強く、色も綺麗な黄色をしていて、繊維が細かいのが特徴。普段、梅軒のガリはこの黄金生姜をつかっています。今回は食べ比べとして新生姜でもガリを作りました。黄金生姜に比べて爽やかな香りと辛味です。
南国土佐と呼ばれるだけあって、高知の郷土料理は暑い夏を乗り切るための食事だったり、食欲増進のための味付けだったりするものが多いと感じますね。
そして土佐しらぎくさんのお酒はお客様の人気は山田錦と美潮でした。僕は個人的には地元用のたっぷり純米が好きなんですが。いずれにしろ、竜太くんの楽しい話で会のほうも楽しくできました。竜太くん、ありがとうございました。
次回の「日本全国食べ歩かない」13歩目は8/24(金)19:00~「熊本県 花の香」さんです。
酒と鮓 梅軒