「日本全国食べ歩かない」第7歩 「富山県 羽根屋」その壱
先日の第7歩目の「日本全国食べ歩かない」は「富山県 羽根屋」さんでした。
北陸新幹線も通り活気づく富山から羽根屋の富美菊(ふみきく)酒造の羽根さんに来ていただき、富山満喫の会のスタートです。
毎度もらってくる観光パンフレットが今回は数枚しかもらえず(富山のアンテナショップが数枚しかくれませんでした)皆さんに行き渡らずすいませんでした。
今回の羽根屋のラインナップはコレ。
右から純米大吟醸翼・純吟プリズム・純吟煌火・純米しぼりたての4種。
どれも羽根屋らしい透明感のあるお酒です。生酒ですが、生特有の重さはなくスッキリと呑めます。
先付 鰤のあんじゃなます 分葱
この時期の富山といえば氷見の寒鰤ですね。脂ののった鰤に生姜のきいた酢味噌で和えた料理です。「あんじゃ」とは「兄者」のなまったものだと言われています。
富山湾で獲れた魚介の干物の炙りです。干した甘海老はそのままでも美味しいですが、サッと炙るとまた海老の香ばしい香りがよくでます。
蛍烏賊は富山湾の春の風物詩ですが干物は1年中出回っています。肝も入ったままなので、炙ると肝が溶けてこれまた酒のアテに最高な逸品です。目がついているので、それだけ外してから炙ると口に残らず食べやすいです。
げんげは体長20㎝ほどのヌルヌルとした平べったく細長い深海魚です。ちょっとグロテスクな感じですが、クセのない淡白な白身の魚で汁物や干物、天ぷらなどにして食べます。天ぷらにするとフワフワの食感が楽しめ、汁物にするとゼラチン質のプルプルした食感と舌の上でとろけるような食感が楽しめます。干物にすると味がグッと濃くなります。げんげの語源は元々は蟹漁の網などに入ってくる商品にもならん邪魔な魚という扱いだったそうで「下の下」が訛って「げんげ」になったのだとか。鮮度が落ちやすい魚なので昔は港町近辺でしか食べませんでしたが、冷蔵流通が良くなり全国的にも知られるようになりました。今では中々お目にかかれない幻の魚という意味で「幻魚」と書くそうです。
吸物 かぶす汁 笠子 渡蟹 目光 金目鯛 のど黒 キンキ 真鯛 浅葱
お湯に新鮮な魚をぶち込んで味噌で味付けしただけの、いたってシンプルなこの料理。元々は氷見の漁師のまかないだったもので、その日に獲れた新鮮だけど売り物にはならない小魚や蟹などで作ったものです。鮮度がよい魚介を大量に入れることで、臭みなどなく出汁も使わなくても十分な味と旨味がでます。今回は売り物にならない魚は手に入らないので(笑)カサゴや目光などの小魚と渡蟹、そして金目鯛などカマを大量に入れて作りました。いろんな魚からでる旨味出汁は濃厚で味に深みがあって旨いです。
「かぶす」とは方言で「分け前」という意味だそうです。まさに海の分け前って感じの料理ですね。
割鮮 氷見の寒鰤 貝割大根 辛味大根 芥子
もちろん造りは氷見の寒鰤!鰤は10㎏を超えると一気に脂がのってきます。今回のももちろん10㎏超えです。半分はそのまま造りで食べていただき、半分は出汁をかけて鰤しゃぶ風にと2度楽しめるようにしてみました。薬味は僕の個人的な好みで、辛味大根と芥子。脂の多い魚には芥子や辛味大根がよく合います。
その弐へ続く…
酒と鮓 梅軒