酒と鮓 梅軒(バイケン)

武蔵小山の鮓(すし)割烹と日本酒の店です【住所】目黒区目黒本町5-16-3☎03-5708-5542 水曜定休

「日本全国食べ歩かない」第九歩 「秋田県 一白水成」其の壱

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「日本全国食べ歩かない」第九歩目、「秋田県 一白水成の会が先日ありました。

日本酒業界でも最近勢いのある秋田県。郷土料理も面白いものがたくさんある県です。僕にとって秋田県はお袋の実家でもあるので、子どもの頃からよく行ってた馴染みのある土地でもあります。

 

 

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一白水成を醸す福禄寿酒造さんは秋田県の中央に位置する五城目町にあります。近くには干拓で有名な八郎潟や、男鹿半島があります。

今回のラインナップ。一白水成純吟雄町・酒未来・吟の精・美郷錦です。すべて精米や造りは同じで米の違いによる呑み比べ。今回は特別にすべて非売品の生酒を持ってきていただきました。どれも米の味のよく出た旨味のある酒ばかり!飽きのこない味で料理との相性もイイです。

 

 

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先付 ぎばさぽん酢 とんぶり 卸生姜

秋田はネバネバ系の食べ物が大好きな人が多いのか、郷土料理などに非常に多くみられます。これもそのひとつ。ぎばさ=アカモクという海藻で、芽かぶのような粘りがあります。クセのないさっぱりとした味と旨味が特徴的で、酢の物や味噌汁などに入れてよく食べます。最近ではこのぎばさが花粉症に効くとかで密かなブームになってるみたいです。

天に乗せたのはこちらも秋田の名産のとんぶり。「畑のキャビア」なんて言われたりもするプチプチとした食感の楽しい野菜です。とんぶりは掃除に使うほうきの実です。特殊な技術で殻を取り除いたものがとんぶりになります。

 

 

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前菜 かすべのからぎゃ煮

かすべ=エイのことです。北海道でもかすべの煮付などは食べたりしますが、北海道では生のかすべを使いますが、秋田ではカチカチに干した乾物のかすべを水で戻して柔らかく炊いてから煮付にしたものになります。

コリコリした軟骨の食感と乾物独特の味わいが滋味深い肴です。冷蔵庫に入れて煮汁が少し煮凝りの状態になったものを器に盛って食べるのが一般的です。

 

 

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吸物 納豆汁 沢もたし えにょ 蕨 大根 人参 滑子 薄揚げ 芋の子 豆腐     洗葱

こちらも秋田の定番、納豆汁です。いろいろな地域で納豆汁は見かけますが、秋田の納豆汁は粒の納豆を当たり鉢でトロトロになるまで擂り潰したものを味噌汁に溶いて食べます。納豆の風味豊かな粘り気のある汁に蕨などの山菜も具沢山に入っていて、おかずにもなる美味しい汁物です。中でも定番の具材は「沢もたし」ですね。沢もたしはナラタケというきのこで「さもだし」や「さもたし」などいろんな呼び名があります。少しぬめりのあるきのこです。

「えにょ」は定番の具ではありませんが、今回は折角なので入れてみました。えにょ=蝦夷にゅうという野草で、これも地方によって「サク」とか「ミョウサク」とか呼ばれたりします。茎の部分を茹でてから食べますが蕗のような食感とクセのない独特の味があります。

 

 

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割鮮 比内鶏とりわさ 貝割大根 茎山葵醤油漬

日本の地鶏を代表するのが秋田の比内町でつくられる比内鶏です。個人的に日本で一番美味い地鶏がこの比内鶏だと思ってます。比内町の近隣の町でも比内鶏といって生産していますが、やはり本家の比内鶏の味とは比べ物になりませんね。厳しいガイドラインをクリアしてこその、この味だと思われます。よく運動しているのでしまった肉質と旨味のある味の地鶏です。今回は低温調理したむね肉に卸したての山葵と辛味の効いた山葵の茎の醤油漬を付けてとりわさ風に。低温調理したむね肉は生ハムのようにしっとりとしていてジューシーです。

 

其の弐に続く・・・

 

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