「日本全国食べ歩かない」第10歩「滋賀県 松の司」其の壱
いや~すっかり更新がご無沙汰してしまいました。
先日、「食べ歩かない」の第10歩目になる「滋賀県 松の司」の会がありました。今回は店頭告知ですぐに埋まってしまったため、ブログ告知ができませんでした。
今回のラインナップはこちら。松の司純吟竜王山田錦・純吟楽・純米生もと生原酒・純米造り産土の4種類。
キリリとキレと酸のある純吟タイプとどっしりしっかり味の純米タイプと味の違いを楽しんでいただきました。
滋賀県はその昔、安土城があり信長のお膝元でもありました。さらには近江商人などにより商業が発展した土地でもあります。そして滋賀の人の生活に欠かせないのが琵琶湖です。滋賀県は琵琶湖と信長や近江商人の歴史の中で食文化が発達してきた土地でもあります。
先付 丁字麩芥子和え 胡瓜 芥子酢味噌
丁字麩という四角いお麩を戻し、塩もみした胡瓜と芥子酢味噌で和えた滋賀定番の郷土料理です。シンプルながらもさっぱりとした味が夏場などにはもってこいのお惣菜です。
その昔、お麩は丸い棒状のものが一般的でしたが、行商で歩き回る近江商人にはこの丸い形が荷物にかさばって邪魔でした。そこで持ち運びしやすく邪魔にならない四角いお麩を作ったのがこの丁字麩の始まりだそうです。
前菜 天然にごろ鮒鮓カナッペ 大根 ゴルゴンゾーラ はちみつ 白味噌
滋賀を代表する珍味と言えばこの鮒鮓です。今の寿司の原型がこれになりますね。琵琶湖固有のにごろ鮒を炊いた米で漬け込み1年ほど発酵させた飯鮓です。乳酸発酵の酸味が独特なので苦手な人も多いですが、今回は食べやすくカナッペにしてみました。大根の方にはあえて現物を味わってもらおうと思い、そのままスライスしたものを乗せました。現在にごろ鮒が中々獲れなくなり、代用としてゲンゴロウ鮒やギン鮒を使った鮒鮓もありますが、そちらはクセも強く骨や皮も硬くなってしまうのだとか。やはり伝統のにごろ鮒が一番美味しいですね。
ちなみに鮒鮓を作っている現場を見学させてもらったことがありますが、中々のもんでした。グロいのが苦手な方は見ないほうがいいかと思いますよ。
吸物代わり 鮒鮓一口茶漬 生海苔 柴漬
折角なので鮒鮓を堪能してもらおうと、代表的な食べ方のお茶漬けもご用意しました。この卵の部分が美味しいんです。鮒鮓の酸味に合わせて柴漬を添えました。
割鮮 琵琶鱒ル・イぺ 新玉葱 貝割大根 芥子
こちらも琵琶湖固有種のビワマスのルイペです。サクラマスとよく似たビワマスは一旦冷凍し、やや解凍されたものを切り出しました。ル・イペとはアイヌの言葉で「溶けた食べ物」という意味だそうです。ゴールデンカムイで言ってました。
溶けかかった刺身はやや凍ったところと溶けてトロリとしたところの二つを楽しめます。クセもなくサッパリしてるけど脂ののっているビワマスには芥子を薬味にしてもらいました。
・・・其の弐へ続く
酒と鮓 梅軒