秋田 鰰飯すし
今日は秋田県の「ハタハタの飯鮓(いずし)」の紹介
ハタハタの語源は昔の雷の擬音語で、今でいうゴロゴロと同じ意味らしいです。
秋田の日本海では初冬の天候が悪い雷のよく鳴る日に海岸に産卵のため現れることから、この名がついたとか。別名カミナリウオとも呼ばれるそうです。
そんな秋田ではハタハタの料理は多く、焼いたり煮たり、有名な魚醤「しょっつる」はこのハタハタでつくられます。
このハタハタの飯鮓は元々保存食としてつくられ、塩漬けのハタハタを使うことから山間部の方でもよく食べます。
まず、ハタハタを丸ごと塩漬けにし、塩抜きのあと酢に漬け、麹と白飯を混ぜたものと蕪や人参、生姜などの野菜と一緒に笹の葉の上に交互に敷き詰めていき、重石をして3~4週間発酵させたのち食べます。
麹の甘い香りと乳酸発酵の酸味がイイ酒のあてになるんです。
結構酸味の強いタイプのものもありますが、今回店で造ったのはもっとソフトなタイプ。なので飯鮓が苦手な方でも食べれますよ~。
酒と鮓 梅軒 ☎03-5708-5542
栃木 開華
先日、栃木の蔵元「開華」の営業の相良くんが酒を持って営業に来てくれました。
相良くんは以前、下高井戸の有名居酒屋さん「おふろ」で彼がバイトしてた頃からの付き合いなので、もう20年くらいになります。
相良くんは昨年から地元の開華さんで働きはじめまして、この日はその開華の試飲をさせてもらいました。
地元栃木の下野杜氏(しもつけとじ)が醸す酒は、サラリとした印象の酒でした。
その中でも味のしっかりある「山廃 純吟」が僕的には好きですね。お燗してふわっと旨味が広がる感じがいいです。
まだ入社1年目の相良くんなので、やれることはまだあまりないと言ってましたが、今後の蔵の酒造りに対して熱く語ってくれました。がんばれ相良くん!
酒と鮓 梅軒 ☎03-5708-5542
北海道 ベルのたれ
道産子の愛してやまないジンギスカン用のたれ「ベルのたれ」
ジンギスカンはマトンやラムといった羊の肉を山なりになった鉄鍋(平鍋もありますが)で焼いて食べる北海道の料理です。ま、一時期東京でもジンギスカンブームで中目黒あたりにすごい勢いで店ができたおかげで広く一般的にも知られ、食べたことがある人も多いと思います。
最近はブームも落ち着いたみたいですが…。
僕のウチは北海道に親戚がいるので子供の頃から家では普通に鍋をやるくらいの感じでジンギスカンをよく食べてました。ちゃんとジンギスカン鍋も持ってましたし、当時関東では手に入りづらかったラム肉も北海道の親戚から送ってもらってました。
ジンギスカンは「生肉焼きタレ漬け」と「漬け込み肉焼き」とありますが、圧倒的に多いのは「生肉焼きタレ漬け」でしょう(ウチでは漬け込み派でしたが)
大阪の家庭のたこ焼きと同じレベルで、北海道では家やBBQでやることの多いジンギスカンですが、その時に使われるタレで絶大な支持があるのがこの「ベルのたれ」
他にもジンギスカン用の「ソラチのたれ」とかもあるんですが、ダントツ「ベル」人気です。
このタレ良くできていて、玉ねぎの甘みとスパイシーな酸味があってすごい美味しいのです。僕の家では炒め物なんかでも良く使います。スパイシーさがビールにもってこいなのです。
店でお出しすることは多分ない(笑)と思いますが、僕はこれでジンギスカンを食べるときには、このタレをベースにさらにすりおろしのリンゴやセロリ、生姜、にんにくなんかを入れて味に深みを出して使います。
最近ではたまに都内のスーパーなんかでも見かけるので、1本家にあると普段の炒め物がまた一味違った感じになるので重宝しますよ。(ステマじゃございません)
ちなみに僕はジンギスカンの付け合わせの野菜はもやしだけでイイ派です。
酒と鮓 梅軒 ☎03-5708-5542
愛媛県宇和島 萬年味噌
過去に全国の蔵元巡りをして行ったことのない県がなくなった僕が、そこで食べたり出会った、その土地特有の料理や食材などを少しばかり紹介しようと思います。そうです県〇ショー的なヤツです(笑)地元の方、もし情報が間違っていたらごめんなさい。
四国産のはだか麦だけを100%使い、麹と塩だけで丁寧に造られた麦味噌です。
なかなか麦100%の味噌って見ないですもんね。
麦味噌というと「もろみ味噌」や「金山寺味噌」が有名ですが、これらは「なめ味噌」(そのまま食べる用)になりますが、この萬年味噌は調味料としての麦味噌です。
麦麹の甘みのあるやわらかな味の味噌で、味噌汁にしてもほっこりした味が印象的です。
昔はウチのおふくろの実家(秋田)でも、自分の家で使う味噌(豆米味噌)は毎年仕込んでました。こんなに丁寧に造る訳じゃないですが、それでも塩分調整や熟成調整が自分でできるので中々美味しい味噌でした。それが「手前みそ」の言葉の発祥らしいです。今はみんな味噌は買うものと思ってるでしょうな~。
こういう昔ながらの製法を守り、丁寧に仕込んだものは、もっともっと世に出て欲しいですな~。
ウチの店では今、同じく愛媛産の真鯛の握り鮓にこの味噌をチョコンと乗せてお出ししてます。ふんわりと麦の甘い香りと鯛の旨味が良く合って美味しいですよ。
酒と鮓 梅軒 ☎03-5708-5542
山形 十四代
もはや超がつくほど有名になり、いまだに入手困難な酒の山形「十四代」
この十四代を有名にしたのが、十五代目の高木顕統(あきつな)杜氏。
顕統さん(普段はアキちゃんと呼んでますが)とは、僕が日本酒業界に入った頃からのお付き合いで、ちょうど十四代が世に出るぞって年だったと思います。なのでかれこれ25年くらいのお付き合いでしょうか。
当時はまだ地酒といえば新潟系の淡麗辛口が主流のころに、顕統さんは旨口の酒を造り、一気に日本酒ブームの火付け役になりました。
お米違いのタイプ別酒などにも早くから取り組み、仕込み水や添加用の醸造アルコール、はたまたラベルに至るまで、1本の酒を造ることに対しての情熱とこだわりが半端ないです。
これだけ人気の蔵になればちょっと天狗になりそうなものですが、いやいや顕統さんめちゃめちゃ人あたりの良い優しい方なのです。蔵人さんたちへの教育もすごくて、僕みたいな呑み屋のオヤジが遊びに行っても皆さんご丁寧な挨拶を作業を止めてまでして頂き、感謝感動でした。
磯自慢さんにも共通することですが、やはり美味しい酒を造る蔵はいくら有名になろうと天狗にならず、蔵の掃除が行き届いていて、蔵人さんの教育もしっかりしている。この3つができているからこそ、美味しいお酒につながるのだと思います。業種は違えど、同じ口に入るものを造る者として勉強になります。
今後の日本酒業界のリーダーとして、若い世代を引っ張っていってくれる頼もしい蔵です。
酒と鮓 梅軒 ☎03-5708-5542
静岡 磯自慢
酒好きの中ではもはや有名な静岡の銘酒「磯自慢」
かなり昔から吟醸造りなどにこだわり、今でこそ当たり前になった米造りからの酒造りや、兵庫特A地区のお米の使用や、日本酒のビンテージ使用など現在の地酒ブームの地盤をつくった蔵でもあります。
「磯自慢」の蔵は焼津の海の近くにあり、近くには大井川も流れ、美味しい水に恵まれたところで酒を造っています。
蔵の歴史は古く、江戸時代からになるそうですが、歴史が古いからって設備も古い訳じゃありません。タンクや酒のしぼり機などはオールステンレスで衛生面にも気を付けていて、蔵の中はとにかく綺麗です。掃除をかなりしっかりやられてるので、古さなどみじんも感じません。こういう当たり前のことをキッチリとやるからこそ、あの美味しい磯自慢ができるのだと感じます。
酒質はとにかく美味い!やさしい香りがあって旨味もあって上品でいて料理との相性もいいしバランスもイイ!欠点の見当たらないスゴイ酒です。有名になったからといって妥協しない寺岡さん(磯自慢社長)の心意気が垣間見える酒です。
まだ呑んだことのない方は是非呑んでみてください。ワンランク上の日本酒を感じることができますよ。
酒と鮓 梅軒 ☎03-5708-5542
福井 早瀬浦・桝々福々
今日は福井県美浜町の三宅彦衛門酒造で造る「桝々福々」(ますますふくふく)
代表銘柄は「早瀬浦」今は12代目の三宅くんが造っています。
美浜町は原発でも有名ですが、ここ早瀬浦のあるところは三方五湖という5つの湖と若狭湾に囲まれた自然豊かな漁師町で五木ひろしの出身地だそうです。
何度か蔵にも遊びに行きましたが、ホントに綺麗でのどかな町です。
杜氏の三宅くんとは長い付き合いで、三宅くんが蔵に戻って初めて東京で「福井の酒の会」をやった時に逢い、酒を呑んでみて「この酒面白い!」と思い、すぐに仕入れのお願いをしたのが、かれこれ20年くらい前だったと思います。お互いおっさんになりました(笑)
酒質は漁師町の酒らしく、どっしりとしたキレのある香りおだやかな酒で、冷でも燗でもいける酒です。
この「桝々福々」は生原酒なので、燗よりは冷のが美味しいと思います。ラベルに使われている古いデザインは「引き札」といい、昔の商人さんやお店が広告のために作ったチラシのようなものだそうで、これも実際に三宅くんの蔵で使っていた引き札のデザインだそうです。
三宅くんは良くも悪くも頑固者(笑)なので、今ブームの少し甘い酒とは違う路線ですが、いつ呑んでも早瀬浦らしい味わいの酒を造ってくれます。
キリリとキレのある呑みごたえのある酒がお好きな方は要チェックの酒ですよ。
酒と鮓 梅軒 ☎03-5708-5542