酒と鮓 梅軒(バイケン)

武蔵小山の鮓(すし)割烹と日本酒の店です【住所】目黒区目黒本町5-16-3☎03-5708-5542 水曜定休

「日本全国食べ歩かない」第五歩 栃木県「開華」 其の二

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前回からの続き「日本全国食べ歩かない」第5歩目「栃木県 開華」の酒の会です。

吸物 耳うどん佐野市) 鶏肉 椎茸 人参 芹 洗葱 占地 平茸 山榎茸 柚子

開華の第一酒造さんのある栃木県佐野市の名物・耳うどんです。佐野ラーメンも有名ですが、この耳うどん佐野市のお正月には欠かせない料理です。練った小麦粉を耳のような形にして茹で、野菜などと一緒に醤油味の出汁でいただきます。

この耳は悪い神様の耳なんだそうで、この耳を食べてしまえば家の話を悪い神様に聞かれることがなくなるから「一年間悪いことが起こらない=魔除け・厄除け」になるという新年の縁起物の料理なんです。

本来は正月に忙しいお母さんが少しでも楽をできるようにと、年末に茹でた耳うどんを水につけて保存しておき、それを食べる時に野菜と出汁と一緒に温めて食べるそうなんですが、それだと食感があまりにもベロっとしてしまうので今回はその場で茹であげてもちもち感を残しました。出汁は干椎茸の出汁と鰹出汁のブレンド濃口醤油でしっかりと味付けしています。

 

 

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割鮮 湯波(日光)三種盛 割醤油

栃木県日光といえば東照宮中禅寺湖でも有名ですが、湯波も有名です。

 引き上げ湯波、湯波クリーム、出来立て湯波の三種盛です。

 ちなみに京都では湯葉、栃木では湯波と書くのが定番だそうです。

 

 

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揚物 いもフライ(佐野市) ミツハフルーツソース マドロスソース

佐野市ご当地グルメといえば、子供にも大人気のこの「いもフライ」。茹でたじゃが芋を串に刺し、パン粉を付けて揚げ、ご当地ソースをかけて食べるのが定番。1本90円くらいなので、部活帰りの子供たちやら小腹の空いた人たちがよく買ってますね。結構腹持ちもいいですよ。

 

 

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こちらがそのご当地ソース。ご当地ソースといえば広島のおたふくソースや神戸の泥ソースなんかが有名ですが、栃木ではこちらのソースがメジャーです。

左のミツハフルーツソースはかなりスパイシーでいてサラッとした味。右のマドロスソースは濃厚な甘みと旨味のある味。どちらも対照的で使い分けができそうです。今回入手できなかったものに月星ソースというのもあり、こちらは業務用でいもフライ専用のソースも販売しています。

 

 

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肴 蒟蒻の甚五焼(那須塩原

甚五焼とは元々、山の形にしたおにぎりを串に刺し、ジュウネ味噌を塗って炭火で焼いたものです。山の神様へのお供え物だったそうです。ジュウネ=えごまです。

今回は鹿沼産の地芋の蒟蒻にジュウネ味噌を塗り焼いた田楽風の酒の肴です。香ばしいえごま味噌で酒が進みます。

 

 

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御飯物 鮎御飯(那珂川) 穂紫蘇

留椀 干瓢の玉子綴じ 三つ葉

香の物 柚子巻大根 干瓢梅酢漬

意外と知られていませんが、栃木を流れる那珂川は天然鮎の漁獲量が日本一なんです。鮎釣りのメッカとしてもよく知られています。その天然鮎を使った鮎御飯。香ばしく焼いた天然鮎を骨を抜いてよくほぐし、米と一緒に炊き込みます。鮎の出汁のよくしみたご飯は酒のアテにもなるほど香り良いです。

留椀で使う干瓢はもちろん栃木産の天日干し。干瓢の生産量日本一の栃木ならではのお吸い物です。シンプルな味付けで干瓢のしこしこした食感が味わえます。

香の物の柚子巻大根は甘酢に漬けた大根の薄切りで柚子の皮を巻いたもの。爽やかな柚子の香りが口直しにもってこいですな。

ピンク色した干瓢の梅酢漬はこれも栃木ならではのお漬物。梅干を漬けるときに出る梅酢で茹でた干瓢を漬けます。これも皆さん初めましての味のようで、干瓢と言われるまでなんだか分からない方が多かったですね。

 

 

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開華さんの仕込み水も持ってきていただきました。中硬水のさらりと透明感のある美味しいお水です。

 

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相良くん、お疲れ様でした。

今回の栃木は海なし県なので料理に少し苦労しましたが、なかなか面白いものができたと思います。山や里のものを使った歴史的背景のある料理が興味深かったですね。

 

さて、年内の「日本全国食べ歩かない」はここまで。

年明け1月は東京の酒蔵さんの予定です。郷土料理は昔の江戸料理を再現してみようと思ってますので、ご興味ある方は是非ご連絡ください。詳しい日程はまだ決まってませんので、また追ってこちらのブログにて告知いたします。

 

  酒と鮓 梅軒